“そば切り”って、いったい何のこと?
field of buckwheats / kakki**
そば茶にそば饅頭、そば粉入りのケーキにクッキー・・・
最近の健康志向もあってか、昔ながらのもの以外にもそばを使った食べ物を目にする機会が多くなりましたね。
皆さまは、どんな“そば”がお好きですか?
私は個人的に、そば粉入りのクレープ“ガレット”などが案外気に入っております!
・・・そう、私たちがふだん「そば」と呼んでいるものは、 あくまで穀物としての「蕎麦」を、麺状に加工した食べ物のこと なんですよね。
そしてこれを、その他の“そば加工品”と区別するための呼び名が「そば切り」ってわけなんです、じつは・・・。
La treccia di grano saraceno / V-Juls
●意外と短い?「今の蕎麦」
一般の人々がそばを「そば切り」として食すようになったのは、実は江戸時代の中期ごろになってからのことだと言います。
それも、はじめは江戸などの都市部での普及だったそうで、まだまだ農村の人たちはといえば、そば粉を水や湯で溶きながらかき混ぜる作る「そばがき」を食べていたのだとか!
そば粉を“掻き混ぜる”から「そば掻き」、生地にまとめて麺状に“切る”から「そば切り」・・・というわけですね。
ちなみに蕎麦の実の食べ方には、粉にして用いる“粉食”の他、実のままを料理する“粒食”もあります。
粒食としては、脱穀した実を汁物の具にしたり、“そば味噌”に用いるのも、そば料理の一種として知られていますね。
ですが、もともとは“そば米”とされたのが、歴史的にはもっとも古い蕎麦食の形と言えるのでしょう。
かつてはこうして区別されていたのに、今ではわざわざおそばのことを「そば切り」と呼ぶ機会が少なくなったのは、それだけ麺の“そば”が市民権を獲得したからに違いありません!
●「どこにでも生える」それが蕎麦
お米が取れないような土地や、米作が終わった土地などでよく蕎麦は栽培されていることが多いですよね。
植物としての「蕎麦」はタデ科の植物。
コメ、ムギ、ヒエなどがすべてイネ科の植物なので、蕎麦はそれらとは別物なんですね。
約2カ月で収穫出来る蕎麦は昔から重宝された作物でした。
蕎麦についてはこの辺りで、また次の機会にでも。
ところで、当店は「そば処 金生庵」ですが、街中には「そば切り ○○」といった看板を掲げているお店も見かけます。
これまで「そば切り屋さんって何だろう…?」と思われていた方も、これからは気兼ねなく、おそばを食べに暖簾(のれん)をくぐってみてくださいねっ♪
※今回の内容は過去の「まめそば」から転載したものです。